雇用 家計管理 資産形成


中編からのつづき


新たな派遣先へ


正社員雇用を求めて斡旋会社へ行ったときに担当者から言われたことが僕の中でとてもショックだった。「あなたは労働力として市場価値がありません」と言われた気がしてしまった。たしかに僕はこれまで何も問題意識を持たずただただ時間を過ごしてきてしまった。

そんな中、派遣先の工場が減産となり派遣契約が打ち切られた。派遣社員は3ヶ月とか6ヶ月とかの単位で契約を更新していくので人員整理のタイミングが合ってしまうとドライに契約解除になってしまう。想定外に職を失ってしまったぞ。腰を据えて転職活動するほどの経済的余裕は全くない。派遣会社には急いで次の派遣先を探してもらうことにした。

派遣社員として工場勤務がつづく


数カ月後、またも工場勤務の派遣先との契約が完了した。文系の大学を卒業したのに仕事は工場勤務。大学を卒業する意味ってあったのだろうか…

そして、3年後。法律に則り契約解除。そして、またも工場勤務の派遣社員。。。

僕はいつまでこんな生活を続けることになるのだろうか。年齢も33歳になってしまっている。独身、実家住まい、年収300万円。少し前までは彼女もいたけれどこんな仕事ばかりしているから愛想を尽かされフラれてしまった。さすがに将来が不安になってきてしまったよ。実家住まいで生活費も大して必要じゃないから貯金は300万円くらいは作れているんだけどね。

アラフォー派遣社員


あれから何社を転々としてきたのだろうか… 今年で僕も40歳になる。正社員で働いてきてキャリアを積んできた人でも転職が厳しくなる年齢だ。なのに、年金が貰えるまでは残り25年もある。最近では両親も随分老けこんできて、病気がちになってきてしまった。親に孫すら見せてあげられない、安定した仕事をして安心させてあげられるわけでもない。本当に情けなくなってしまう。

正社員で就職もできないのであれば「起業」という方法もあるが、自分で仕事を始めるような事業案も資金も能力もない。せめて社員登用制度のある契約社員にでもなれないものだろうか…

時代は人材不足。求人市場は売り手市場


4月。現在の派遣先に20人の新入社員が入社してきた。約20年前の僕らの時代はあれほど大変だったのに、最近の学生は4社くらいから内定を貰えるらしい。なんなんだよ、この違いは…

人材不足で売り手市場といえども、40歳を過ぎた僕らのような労働力は求められていない。そもそも求人すらないし、あったとしても経営者レベルの募集。僕はこれからどうすればいいのだろうか… 一生、派遣社員でいられるわけでもないだろうし…
ましてや、派遣期間は3年と決められているから3年毎に雇用の危機を感じる。昇給も見込めない雇用形態で退職金もない。将来を考えると不安しか覚えないからか、いつからか将来を考えなくなってしまっている。結婚なんてとんでもないな。

仕事は巡りあわせ。こんなことって…


今の派遣先にはあと半年で3年になる。今まで派遣された企業の中でも随分環境が良い。上司が人格者であることもあって全職員の人間関係は最高だ。若手の正社員達も雇用形態に関係なく僕が年長だからと慕ってくれる。こんな素晴らしい企業に正社員でいられたら、仕事に集中もできるんだろうなぁ。。。

そんなある日。上司から呼ばれた… 「はぁ、また契約解除の話か…」
肩を落として会議室に入り席につくと「いしかわ君はうちの仕事をどう感じているの?」という質問から始まった。

「仕事は単調ではありますが会社の方針が派遣社員である僕にも伝わってきて目的意識を持って働くことができています。残った期間があと僅かですが、その間は精一杯働かせていただきます」

『いしかわ君はうちの若い奴らにも慕われていてチームを団結させてくれるから、私も楽をさせてもらっているよ』

「いえいえ、意識の高い社員さん達ですから一緒にいてこちらが励まされます」

『ところで、派遣の契約期間のことなんだけどね。。。』

「(あぁ、やっぱりきたか…)…はい」

『今度の更新で派遣契約を打ち切らせてもらおうと思っているんだ』

「はい…」

『それで、君が望んでくれるのなら、君も派遣会社を退職してほしい』

「退職ですか?」

『そう。派遣会社を退職した後にうちに契約社員で入社してほしいんだ。』

「え!本当ですか!?」

『あぁ、君の年齢でいきなり正社員採用が難しいから、最初の1年だけ契約社員。来年には正社員になって若い奴らをまとめてほしいんだよ』

「 !! ありがとうございます! ありがとうございます…ありがとうございます…


40歳を過ぎて初めて正社員への道が見えた瞬間だった。仕事中なのに涙が止まらず、上司も苦笑いするほどだった。
僕はこの会社に一生かけて恩返ししていくぞ!


いかがでしたでしょうか。
契約社員から始まり派遣社員で20年以上働いてきた、いしかわ君。彼の20年間は非常にツラく不安であったことでしょう。運命の巡りあわせが悪く、冷えきった雇用環境の為に派遣社員の道を歩まざるをえない人々が今も多く存在します。家計管理、資産形成などには必ず雇用の確保が必要です。“働き続けられる環境”こそ生活の基盤になります。
私達アラフォー世代の雇用環境が良くなることを切に願っております。




 クリックで応援お願いします!
 にほんブログ村 その他生活ブログ 節約・節約術へ